日別アーカイブ: 2021年4月27日

「聖火」を止めろ!五輪は中止!

★「聖火」リレー、スタートに抗議!

 10年目の「3.11」目前に起こった地震は、私たちに、10年の歳月を経ても「復興」とは程遠い現実を突きつけた。「3.11」以後、日本は未だ「原子力緊急事態宣言」下だ。そしてコロナ・パンデミック2年目の今年、年明けから続いた「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言」が3月21日解除。3月25日、福島県Jビレッジから1年延期で2020東京オリ・パラの「聖火」リレーがスタート。「解除」は、夏の五輪開催強行突破のための見え見えの意思表示だ。

 3月20日、組織委員会は海外からの一般観客の受け入れを断念、しかし開催の姿勢は崩していない。もはや「完全な形」は崩れ去り、世論の8割が今夏のオリンピック・パラリンピック開催は無理だと言う中でのこの愚行、歴史に残る暴挙を止めよう!

 3月17日には、「ひだんれん」(福島原発事故被害者団体連絡会)のみなさんらの呼びかけで、Jビレッジの前での抗議行動「福島はオリンピックどごでねぇ」が昨年に続き取り組まれ、参加した。Jビレッジは原発増設のために東電が県に寄付した施設で事故後は収束作業の拠点になったが「聖火」リレーに合わせて一昨年秋に再開。が、国際環境NGOグリーンピースがJビレッジ内のホットスポットを発見、敷地内に放射線廃棄物を隠していたことが露呈した。昨年3月の帰還困難区域の一部解除、常磐線全線開通・・・、「復興五輪」は名ばかりで、実際はオリンピックに間に合わせるためのやっつけ、見せかけの「復興」には福島の人々も怒り心頭だ。リレーのための県の予算は、昨年、今年と約2億5千万円。お金を使うべきところはもっと別にある。島根県知事が「聖火」リレーを中止して、その予算7200億円をコロナ等他の対策に使いたいと表明したが、自治体はどこも財政的に苦しいのだ。福島も、日本も、世界中が、オリンピックどごでねぇ。

 昨年開館された「伝承館」を見学。展示では原発事故の原因や被害の実態には触れず、福島の未来を「イノベーション」と言う国の政策へ集約する。目前は放射性廃棄物の中間貯蔵施設を建設中だ。 駅前だけをリレーで走る双葉町は、いまだ帰還者ゼロ。  

 無観客で開催された「聖火」リレーのスタートセレモニーでは、動員された子どもたちが「花が咲く」を合唱、リレーはスポンサー企業の宣伝カーが先導しランナーよりも目立った。究極のショック・ドクトリン(=ナオミ・クライン)と祝賀資本主義(=ジュールズ・ボイコフ)が広がっていた。

★「聖火」を消せ!「聖火」を止めろ!

 「アンダーコントロール」、都営アパートや野宿の仲間の追い出し、オリ・パラ教育の強制・・・等々、私たちがずっと問題にしてきたこと以外にも五輪エンブレムや新国立競技場の設計変更、賄賂疑惑で竹田JOC前会長の辞任、森喜朗の女性蔑視発言と組織委委員長辞任、後任は森を師とも父とも仰ぎ家父長的体質温存、自身もセクハラ当事者の橋本聖子。開閉会式統括ディレクターを辞任した元電通敏腕ディレクター・・・、問題に事欠かない東京五輪。自壊しないのが不思議だが、これが五輪の政治か。

 しかし、さすがにリミットではないか。米で五輪放映権を持つNBCの公式サイトに森差別発言時「(森は)去らなければならない」(2021.2.11)と言う意見記事を書いたジュールズ・ボイコフの新たな記事が25日に掲載された。タイトルは「東京五輪の聖火リレーを消すべきだ」。ボイコフさんは、元プロサッカー選手で、オリンピック参加経験を持つ政治学者で、「批判的オリンピック研究」の立場から五輪に対しての発言を続けている。2019年7月には来日して、「祝賀資本主義」としてのオリ・パラ批判を講演した。いっしょに福島へも行き、Jビレッジやフレコンパック、避難困難区域等、原発事故の被災地を自身が見ている。

 記事の中では、「聖火」リレーが1936年ベルリン大会から始まり、ナチスのプロパガンダに利用されたことにも触れ、「コロナ・パンデミックの中、聖火リレーは公衆衛生を犠牲にする危険がある」と書いている。

 私たちは、2020東京オリンピック・パラリンピックの中止を求める全世界署名を呼びかけ、JOCと東京オリ・パラ組織委員会に提出(拒否されのち郵送)。3月24日、「『聖火を消せ!』反オリンピック国際共同声明」をパリ、LA、韓国、ロンドン、反五輪の会、おことわリンクの8団体で発表した。3月中は毎週のJOC・組織委へのデモ・アクションを継続、25日には新橋から組織委員会までデモ。

 3月末現在、covid-19による死者は全世界で276万人を超え、日本国内感染者数約47万人。この状況下、五輪盛り上げのために「聖火」リレーが全国を回る。感染対策と称してのヒトのデジタル監視、コロナという「戦時」を乗り切るためのナショナリズムの扇動、差別を覆い隠す「五輪ファシズム」(鵜飼哲)・・・、オリンピックはいついかなる都市で開催されようと「災害」そのものだ。五輪より命が大事だ。強行突破の五輪開催を許してはならない。

京極紀子(オリンピック災害おことわり連絡会)