おことわリンク紹介

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■二〇二〇年オリンピック災害おことわり!
毎日玄関を通過するたびにいやな気分にさせられる。オリンピック・パラリンピック(以降「オリ・パラ」と呼ぶ)ののぼり旗を見るたびに。私は大田区の中学校に勤務する事務職員。学校には都教委から山のようなオリパラグッズが届き、あるものは倉庫に積読となるが、オリパラ読本に三年間書かせるオリパラ学習ノートなど、すでに東京の学校にはオリパラが溢れかえっている。「オリパラいやだ!」というこどもも当然いるだろうが、そういうこどもたちが声を発することが困難な空気がすでに学校に蔓延しつつある。

今年一月二二日に私たちは2020「オリンピック災害」おことわり連絡会を立ち上げる結成集会を行った。当日採択した「おことわり宣言」における以下のフレーズが「オリンピック災害」の意味を物語っている。「私たちは、東京オリンピックを『祝祭』ではなく『災害』として捉えかえしてみた。起点は安倍首相の『Under Control』発言であった。まさにこの発言が東京オリンピックを象徴していると言えるだろう。東京オリンピックが私たちにもたらすものは私たちの日常生活に対する『災害』であるという視点。」

東京オリンピックはそういう意味から「災害」のデパートだ。様々な私たちを襲う「災害」は東京オリンピックに「織り込まれて」いく。だから様々な市民運動の課題はどこかで東京オリンピックに遭遇せざるをえないことになる。なぜならば東京オリンピックとはある意味で戦争国家的な「翼賛」体制を構築することによって、あらゆる社会的矛盾を隠蔽して市民を動員するメガイベントだからだ。

そうだとすれば、私たちはどこかで出会い、ともに抵抗する共同性を東京オリンピックに対して獲得していくほか出口はない。「宣言」は言う。「三年半かけて様々な場面や位相で『オリンピック災害おことわり』が交差するしなやかでかろやかな運動を展開していくことで、『おもてなし』を凌駕する『おことわり』を目指す。時には『オリンピック・スポーツ大好き』という人たちをも交えたディスカッションを通して『オリンピック災害』の意味の共有化への努力を惜しまない。」
もう一つ、大切な視点は二〇二〇年をゴールとした支配的な時間設定によってあらゆる事象が組み立てられているということだ。監視社会構築でいえば、二〇一三年番号法、特定秘密保護法、二〇一六年盗聴法の拡大、そして今年の共謀罪は二〇二〇年の監視社会の完成型から逆算して法制化されてきた。天皇の生前退位も二〇二〇年にアキヒトに死なれてはまずいので計画的に二〇一九年に交代劇がセットされた。二〇二〇年七月二四日に新天皇が開会式でオリンピック総裁として挨拶することになる。二〇二〇年体制の最後に待ち受けているのが改憲である。

東京にいるとオリンピック反対派は極少数派だという鬱々とした気持ちになりがちだが、東京を離れると様相は一変する。福島では「オリンピックより復興を」という想いの方が強いだろう。国際的にみれば、オリンピック開催を望まない現地運動は活発で二月から三月にかけて私たちはリオとピョンチャンから反対派市民を招いて集会を行った。世界的には近代オリンピックは市民から見放されていると言っても過言ではない。金まみれのオリンピックに愛想を尽かし、二〇二四年パリ、二〇二八年ロスを同時決定できるほど立候補地も枯渇してきているのだ。私たちもこうした世界的な反対運動の一環として東京オリンピック反対を展開していきたい。

さて、最後に運動内容と今後の展望を紹介しておこう。四月からほぼ隔月で東京オリパラを問う第一期連続講座を開催している。これまでは、四月「五輪災害と共謀罪」五月「神宮再開発による住民排除を許さないフィールドワーク」七月「パラリンピックは障害者差別を助長する」を行い、今後は一〇月「オリンピックはスポーツをダメにする」一二月「ナショナルイベントとしての東京五輪」、そして今季最後として三月下旬に「3・11と東京五輪」をテーマに大きめの集会を準備している。順次パンフ化していくので参加できなかった方は是非ともご購入を!第二期講座はオリンピック関連映像を見る企画を計画中!二〇一八年七月二四日、開会式二年前には対抗イベントもやりたい。

様々な位相や場所で様々な「東京オリンピック災害おことわり」と出会えることを期待してあと三年粘り強く闘っていきたい。
*宮崎俊郎(2020「オリンピック災害」おことわり連絡会)/”Alert”15,201709