これまでの集会、イベント報告(2016〜2018)

■東京五輪を返上しよう お・こ・と・わ・り東京オリンピック集会
テレビのない生活でもリオ五輪の話題は怒涛のように押し寄せてくる。東京新聞ですら(というか次回は東京開催予定だからか)、紙面トップで連日の「金」「金」「金」の大合唱。まるで添田唖蝉坊の「カネカネ節」のようだ(僕は「金メダル」を「カネメダル」と呼んでいる)。メダル獲得国の上位すべてが資本主義大国によって占められている。メダル大国は原子力大国でもある。
八月二一日の未明、経産省前の脱原発テントが闇夜にまぎれて暴力的に撤去された。昼間の抗議行動を取材していた仲間が不当逮捕された情報などが飛び交う(翌々日に釈放)。そんな暗澹たる状況への反撃の狼煙の一つとして同日「お・こ・と・わ・り東京オリンピック」集会が行われた。主催を代表してあいさつした宮崎俊郎さんは「五輪は拝金主義、国家主義、勝利至上主義という問題がある」と五輪返上を訴えた。スポーツジャーナリストの谷口源太郎さんは「五輪そのものは悪くないので改良も可能だという幻想は捨てたほうがいい」と喝破。八四年ロス五輪以降、IOCは国際資本となり巨大化、多国籍ブランドとしての五輪に巨額のマネーが群がってきた。贈収賄、ドーピング、国威発揚、選手の商品化などなど、五輪が選手から人間性というスポーツの根幹そのものを奪ったと批判。小倉利丸さんはスポーツの「正確性」「スピード性」「数値化」が資本主義と親和的だと指摘。ロス五輪と新自由主義の拡大時期の同一性にも言及した。鵜飼哲さんは、未曾有の原発災害をナショナリズム的に動員された五輪イベントによって糊塗する愚民化と棄民化を鋭く指摘。一方で六四年の東京五輪でも挙国一致的雰囲気に流されなかった言説もあったことを紹介。休憩をはさみ、リオ五輪反対アクションに参加した反五輪の会からは厳しい現実ながらも抵抗の息吹を感じる現地スライド報告、メイン会場建設のあおりを受けて取り壊されようとしている都営霞ヶ丘アパートと明治公園での野宿者追い出し問題、メイン会場建設に伴う都市整備上の問題点等を追い続けるオリンピックいらないネットのアツミさん、オリ・パラに動員される特別支援学校の状況、被ばく労働ネットからは東京五輪に殺された円谷幸吉のエピソード、「お・も・て・な・し」とは正反対のヘイトが蔓延する東京と日本の問題点を差別排外主義に反対する連絡会から提起を受けた。反天皇制運動連絡会からはリオ五輪開幕中に生前退位のXデーを自ら呼びかけたアキヒトの「お気持ち」悪い発言に絡めた批判。集会では最後に小池百合子・新都知事に宛てた、五輪返上こそが唯一の選択肢であるという要請文を採択した。
メダルを獲得するのは国ではなく選手個人だ、というのは五輪精神のようだが、資本主義は国ではなく資本家個人の努力で発展するという神話と同じように虚構でしかない。労働を資本の搾取から解放しようとするように、スポーツを五輪の搾取から解放しよう。東京五輪を返上しよう。
(稲垣豊=同実行委員)/”Alert”3,2016.9

■オリンピックおことわり! 集会とデモ
一月二二日、「二〇二〇オリンピック災害」おことわり連絡会(東京オリンピックおことわリンク)の結成集会が千駄ヶ谷区民会館で開催された。この「おことわリンク」は、昨年八月の「お・こ・と・わ・り東京オリンピック」集会報告を本欄にも掲載したが、その集会で新たなネットワーク形成を呼びかけ、数ヶ月の準備を経て作られたものだ。
集会は、「二〇二〇年まで頑張るぞ」の気持も込め、少し趣向を凝らした”Readin Speak out”。これは、発言者のみなさまにあらかじめ読み上げる文章を用意していただき、当日はそれを読み上げ(Read in)、それにコメントをつけていただく(Speak out)というもの。一人八分の”Read in Speak out”、発言者一二人、ビデオ参加三人。発言者の数だけオリンピックに対する視点も提示され、とても興味深く、また面白く、次々と違う課題が提示されるにもかかわらず、すんなりと頭に入ってくるリズムの良さがあった。登壇される方の準備はとても面倒なことだったと思うが、とてもいい集会だった。
同会の鵜飼哲による主催者あいさつから始まり、発言者は以下、谷口源太郎(スポーツジャーナリスト)、北村小夜(元教員)、山本敦久(成城大学教員)、江沢正雄(オリンピックいらない人たちネットワーク)、友常勉(東京外国語大学教員)、なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)、いちむらみさこ(Planetary NoOlympics Networks)、井上森(立川自衛隊監視テント村)、池田五律(戦争に協力しない・させない練馬アクション)、根津公子(「日の丸・君が代」被処分元教員)、小川てつオ(反五輪の会)、映像発言として、ピョンチャン冬季五輪に反対する方、脇義重(元いらんばい!福岡オリンピックの会)、金満里(劇団態変)。最後に、「東京オリンピックおことわり宣言」を全体で確認した。集会前には、おことわリンクにもメンバーが参加している反五輪の会主催のデモが企画され、デモ・集会と連続の行動となった。デモでは不当逮捕という弾圧も。非拘束者は三日で釈放されたものの、オリンピックが単なるスポーツイベントではないことが、逆に見えてくるような状況もつくり出された。詳細は、反五輪の会、おことわリンクの抗議声明を参考にされたし。
おことわリンクのブログには、当日の集会の模様が動画等々ですでにアップされている。集会の詳細もあわせ、ぜひそちらをご覧ください。
http://www.2020okotowa.link/ (大子)/”Alert”8,2017.2

■世界でも五輪はおことわり
オリンピックがもたらす悪影響は人為的「災害」であるとして、さまざまな運動をネットワークでつなぐことを目的として発足した「2020オリンピック災害」おことわリンク。発足集会に続く最初のイベントは、「オリンピックおことわり」にふさわしい二つの国際連帯の集会、題してIOC(International OkotowariConvention)。といっても実は、反五輪の会による三週間の「はんごりん国際連帯ツアー」への便乗企画なんだけど。
二月二五日、二〇一八年予定の韓国・ピョンチャン冬季五輪に反対するイ・ギョンリョルさんを招いて、ピョンチャン冬季五輪の問題点や反対運動の成果などを聞いた。数日前に長野冬季五輪に反対した江沢正雄さんの案内で長野を回ってきたギョンリョルさん。ピョンチャンでも同様にさまざまな問題がある。なかでもパク・クネ汚職疑惑の渦中にある人物がピョンチャン冬季五輪委員会の中心的人物だったりと、タイムリーな話がきけた。おなじみスポーツ・ジャーナリストの谷口源太郎さんによる「スポーツ愛」に満ちた冬季五輪批判も勉強になった。
そういえば昨日(三月三〇日)の東京夕刊に、二〇二二年冬季五輪の会場になっている中国・張家口のスキー場の話がでていた。雪が積もらないので一〇〇%人工雪。スキー場のある峰だけが雪に覆われているという。
三月三日は、昨年九月に行われたばかりのブラジル・リオ五輪による住民排除の問題に取り組んできたジゼレ・タナカさんの話。ギョンリョルさんもそうだったが、ジゼレさんも説得力ある内容。五輪災害で追い出されるファベーラ(都市の貧困層密集地区)住民らとのつながりのなかで運動が展開された様子がよくわかった。
公共空間、人権、そして自然環境がビジネス最優先のメガイベントによって押しつぶされるのはどこでも同じだ。東京でも渋谷・宮下公園での人権無視の追い出し(追い剥ぎ!)をはじめとする人権災害が続いている。これが「アスリート・ファースト」「都民ファースト」なら、熨斗をつけて「おことわり」だ。(バッハ)/”Alert”10,2017.4

■おことわリンク連続講座 「五輪災害と共謀罪」
共謀罪国会審議入り直前の四月八日、「オリンピックと共謀罪『おことわり』のその先を考える」と題して講師小倉利丸さんが語ってくれたことを多くの皆さんと共有したく、要点の報告を試みたい。「政権にとってのオリンピックとテロ対策・共謀罪とは、『敵意(対テロ警備)のナショナリズム』と『歓喜(スポーツ文化)のナショナリズム』による総動員・同調体制の構築である。これに非同調的な人たちを事前に取り締まろうとするのが安倍の言う『オリンピック開催に欠かせない共謀罪法案』。
警察が、国会審議や市民による法解釈等に縛られずに、ある行為が犯罪か否か・どう捜査すべきかを独自に判断できるこの共謀罪法案は、一九〇七年制定・現行憲法の人権条項の反映も全面改正もされずに現在に至っている道義的刑法(小野清一郎)の一部改正に過ぎず、この刑法がある限り、何回でも犯罪を作るべく浮上して来る。だから、『越境組織犯罪防止条約は共謀罪なしで締結可能』という共謀罪不要論も危険。国家安全保障のための犯罪取り締まり・警察の国際的連携強化を狙うこの条約は、移民・難民の移動監視・規制手段と化して生存権を脅かすのでそもそも締結すべきでないし、『テロ対策は既に存在する条約等で十分』という共謀罪不要論も、条約があってもテロは防げないという意味で無責任。
共謀罪との闘いとは、刑法に共謀罪を生む根がある以上、今回の共謀罪の廃案の先に、刑法と刑罰制度(既存の秩序・権力を保守するために存在して貧困・差別・権力犯罪を正当化・構造的に再生産する一方で、社会的逸脱行為を個々人の責任に転嫁して懲罰的に自由を奪って苦痛を与える仕組み)のない社会を目指すこと。二百近くある近代国民国家(法治国家)が持つそれぞれの民主主義と憲法(最高法規)は、自己の正統性を主張して戦争を生み出してきた。近代国民国家の民主主義や憲法で人権蹂躙や戦争は止められない。個々人の生存権を脅かす元凶である法治体制(法で罰する権限を国家に与えるもの)の超克が課題」。
こうした提起だったと思う。(オリンピックおことわリンク/大友深雪)/”Alert”11,2017.5

■東京五輪のメインスタジアム建設、すすむ神宮外苑の再開発地区を歩く
住民を排除して進むオリンピック準備。色々と話には聞いていたが、一度実際の現場を見てみたかった。おことわりンクの連続企画の第二弾としてその思いをかなえることができた。溢れる希望者に待ったをかけて精鋭二三名は千駄ヶ谷駅に五月二七日一五時に集合。ジモティーでもありこの問題のプロフェッショナルでもあるアツミマサズミさんがフィールドワークの案内人。アツミさんの緑の蛍光色のシャツはさすが案内人に相応しい目立ち方。
見学コースは、千駄ヶ谷駅→外苑橋(工事現場を見下ろす。新国立競技場全体把握)→水明亭(ホテル建設予定地)→旧国立競技場外周→絵画館(新宿区天然記念物スダジイ移植)→軟式野球場外周→いちょう並木(景観問題・サブトラック建設)→青山通り左折(三井不動産本社前通過)→スタジアム通り左折(JSC事務所、学徒出陣の碑、JSC日本青年館、外苑ハウス、日体協ビル)→左折(日本青年館跡地、都立霞ヶ丘アパート前)→仙寿院交差点(通称お化けトンネル)。
ちょうど二時間。外苑橋から新国立競技場の全体像を一望できる。旧競技場が収容人員五四〇〇〇人で足りなく、新競技場は八万人という。なぜ八万人なのかという質問を事後学習会でしたのだが、明確な根拠が実はないところに神宮再開発の謎はあったのだ。旧競技場で十分対応できたのだ。そうすると住民追い出しなど必要なかったことになる。だから新規建設であれば、途中寄った聖徳記念絵画館という明治天皇の業績を描いた絵画を所蔵している大きな建物こそ壊して新競技場の敷地とすべきではなかったのか。最後に寄った外苑ハウスのまだ古さを感じさせない建物の取り壊し中のむごたらしい姿を目の当たりにして悲しい気持ちになった。こんな理不尽な住民追い出しと神宮再開発を私たちは決して許さない。その後場所を穏田区民会館に移してアツミさんを講師として事後学習会を二時間かけて行った。ホテル建設のために取り壊される予定の美味しいちゃんぽんが食べられるアツミさん一押しの水明亭グルメツアーを柱にして第二・第三のフィールドワークを行ってみたいものだ。(宮崎俊郎/オリンピックおことわリンク)/”Alert”12,2017.6

■障害者を分断するパラリンピック
「2020オリンピック災害」おことわり連絡会(おことわリンク)は、東京五輪を日常に対する「災害」と捉え、様々なテーマの学習会で問題提起をはかっている。第三回となる学習会(第一期・全六回)では、「パラリンピックは障害者差別を助長する」と題し、パラリンピックに出場する一部のスポーツエリートが掬い上げられることで、障害者が分断されることを議論した(七月一五日@千駄ヶ谷区民会館)。
まず、ますだらなさん(障害児学校労働者)が、「学校ではオリパラ教育が当然のように強制され、反対する教員は排除される」と実際の現場状況を報告した。ますださんは、都教委が進めるオリパラ教育のプロジェクトの一つとして、「世界ともだちプロジェクト」を例に挙げ、国際理解・交流と称するボランティア動員やオリパラ学習ノートの活用が義務化されていることに警鐘をならした。
次に、元教員でもある北村小夜さんは、「パラリンピックばかりが世間から注目を浴びて、頑張っている障害者像が歪曲されて伝播している」と指摘。同じ種目でも障害の度合いでクラス分けがなされ、一見公平にみえても、できない障害者を排除する仕組みに他ならないと強調した。また、戦傷者を社会復帰させるための手段としてスポーツが用いられたことから、パラリンピックが始まったという歴史についても紐解かれた。
?のフィードバックがあるようなので、皆さまぜひご参加を!乞うご期待!(東京オリンピックおことわリンク/児玉啓太)/”Alert”14,2017.8

■オリンピックはスポーツをダメにする?
一九六四年の東京オリンピックを記念し、国民がスポーツに親しみ健康な心身を培う日となっている「体育の日」。日本スポーツ振興センターや日本オリンピック委員会は、今年もトップアスリートを集めた「中央記念行事スポーツ祭り2017」を開催した。そんなスポーツを謳歌する数千人規模のイベントが人知れず行われている中、オリンピックとスポーツのただれた関係について議論する集会がささやかに開催された。「東京オリンピックおことわリンク」連続講座第4回目の「オリンピックはスポーツをダメにする!?」である。私たちは東京オリンピック開催を災害と捉え、これまでに共謀罪や障がい者差別といった複数のテーマで議論を重ねている。
今回の講師である山本敦久さん(成城大学准教授)は、オリンピック批判ができない風潮でも、人種差別やレイシズムに対するアスリートの抵抗が連綿と続いていることに触れ、オリンピックはアスリートからスポーツを奪っていると論じた。また、スノーボード界では、競争主義、結果主義に与することをやめようという新しい動きがあることも紹介された。
もう一人の講師である岡崎勝さん(「自由すぽーつ研究所」所長)は、本来ならば身体的、精神的な自由を得るために行われてきたスポーツが、ルールを細分化し、勝者と敗者をつくることで優勝劣敗の思想を植え付け、多様性や個性を排してきたと指摘。スポーツやオリンピックが、一部の人間による個人的幻想ではなく、莫大な公共投資やファシズム化を加速させる装置となっていると断じた。
?をしてもスポーツはやりませんので奮ってご参加ください。(東京オリンピックおことわリンク/児玉啓太)/”Alert”17,2017.11

■ナショナルイベントとしての東京五輪
一二月一六日国立の一橋大学キャンパスにておことわリンク第五回の講座を行った。この連続講座の第一期はオリンピックの持つ問題性を様々な角度から検討していこうという企画。今回の講座はオリンピックの持つナショナリズムに焦点を当てたものだ。
トップバッターは「天皇制とオリンピック」と題して反天連の天野恵一さん。冒頭、和田春樹さんが「市民の意見30の会ニュース」に書かれた論文の最後の部分の「オリンピックの『平和』で『戦争』を止める」という構図への違和感から話は始まった。反監視運動でさえ、「オリンピックを利用した監視の強化」というとらえ方でオリンピックそのものをニュートラルなものとする構図が基底に潜んでいると私は感じている。
天野さんは一九三六年のナチ・ベルリンオリンピックが現代オリンピックのスタイルを創出したことを指摘しつつ、六四年東京オリンピックはナチと違い、高度成長(開発)五輪であり、ソフトなナショナリズムへの転換を図っている。しかしそれは「日の丸・君が代・象徴天皇」の「戦争」から「平和」へのイメージ転換であり、「敗戦の大量の死者↓露出した戦争」を「平和」で包みかえる政治的イベントであることを指摘した。
続いて鵜飼哲さんは「オリンピック/多様性/ナショナリズム」と題して安倍の「アンダー・コントロール」宣言という大嘘の持つ政治的意味からスタート。二〇二〇年東京五輪は、「復興五輪」として福島原発隠蔽工作を敢行する徹底した政治イベントであることを指摘した。さらにその復興五輪は改憲五輪へとつながっているのだ。続いては「人権五輪」という表看板に隠された人権侵害の拡大について様々な角度から問題提起がなされた。特に私は第三回の北村小夜さんのお話にも通じるパラリンピックと「復興」のイデオロギー的同型性を重要視した。災害多発国・日本と「がんばる障がい者」の同一化はパラリンピックについても政治的イベントとして位置づけられていくことになることに私たちは鈍感であってはならないと感じた。
お二人のお話がうまくクロスする形でとても奥深い講座になったと思う。参加者は四〇名。(宮崎俊郎/オリンピック災害おことわリンク)/”Alert”19,2018.1

■ピョンチャン五輪反対国際連帯ツアー
2/8〜11、反五輪の会& おことわリンクの4人で平昌五輪反対国際連帯ツアー。昨年来日したスポーツ平和研究所イ・ギョンリョルさんが全行程コーディネート、熱くて(超寒かったけど)濃密な4 日間になった。
初日はソウル・光化門広場で街宣、夜は韓日国際フォーラムに参加した。平昌オリンピック反対連帯キム・ミンスの報告「予定された失敗された五輪の災害は必要ない」はもろ私たちの主張と重なる。翌日は江陵へ。市民メディアセンターでインタビューを受け、夜は平昌・開会式会場前で1 時間抗議のパフォーマンス。3 日めは江陵の市民グループ主催「ごめんねデモ」に参加、オリンピックパーク近くの丘までデモ。山・自然を破壊して、五輪を止められなくてごめんねと、白い布を被った幽霊たちと歩いた。最終日は寒風吹きすさむ旌善アルペンセンターで反対集会に参加し「カリワンサン、サヨ〜ナラ〜(蘇れ!)」とコール。通訳のO さんのおかげで韓国の仲間たちとの交流も充実したものになった。感謝!
平昌を招致したパク・クネは倒れ、盟友チェ・スンシルの疑惑の中に五輪もある。ギョンリョルさんが求めていた南北共同チームは実現したが、五輪の問題はそのままで、ムン政権誕生の今、逆に批判し難い空気が生まれている。反対するのは主に太極旗を掲げた右翼の人々。韓国内では一般的に冷めている五輪の最中、安倍政権の発言の異様さは際立つし、日本政府の態度が朝鮮総連本部への右翼テロ等にも繋がっていくのだと思う。韓国の仲間たちと共に「NOlimpics Anywhere」を掲げ、コールした意味は大きい。リオの「反五輪トーチ」も平昌に登場、東京にも繋げたい。2020 年どのような国際連帯運動を創り出せるか、大きな宿題を背負った。(密の眠り)/”Alert”21,2018.3

■国体って何?オリンピックって必要?
茨城を拠点に活動するわたしたち戦時下の現在を考える講座では、毎年二月一一日の前後に地元で反戦・反天皇制・反ナショナリズムの集会を企画している。今年は二月一二日に「国体って何?オリンピックって必要?2019茨城国体とナショナリズムを問う」と題して、オリンピック災害おことわり連絡会の宮崎俊郎さんの講演と参加者による討論からなる集会をつくば市内で行った。平昌オリンピック現地での抗議行動を終えて前日戻られたばかりの宮崎さんのお話は、韓国で平昌オリンピック反対運動を展開しているのは主に北朝鮮との合同チームに反対する右派である点、それゆえ日本から韓国に行って平昌五輪に反対する自身が右派と勘違いされないように気を遣ったことなどから始まった。そして、幻の一九四〇年、一九六四年、来る二〇二〇年のすべての東京五輪は復興五輪であり、特に、戦争体制へと向かい五輪開催を返上することとなった一九四〇年と目下の二〇二〇年の類似性が指摘された。
続いて宮崎さんは、「オリンピックがスポーツをダメにするのか?スポーツがそもそもダメなのか?」と問いつつ、スポーツとナショナリズムの関係を分析するいくつかの視点を提示した。お話の最後に、オリンピック・パラリンピック教育に子どもたちが動員され、オリンピックを利用した「国民監視」が強化されることが批判され、東京五輪返上運動への参加が呼びかけられた。その後の討論においては、様々な視点からの五輪批判、近代スポーツ批判の意見が参加者から出された。主催からは、東京五輪に先立つ二〇一九年の天皇代替わり後に予定されている最初の国民体育大会すなわち茨城国体に注視していただきたく説明を行わせてもらった。私たちの講座では、天皇代替わり、国体、五輪、そして改憲といった動きを一続きのものと捉え、今後も、各地の運動ともつながりながら地元での取り組みを地道に続けてゆくつもりである。(戦時下の現在を考える講座/藤田康元)/”Alert”21,2018.3

■2020東京オリンピックいらない!原宿アピール&渋谷デモ
2020東京オリ・パラ反対!のアピール&渋谷デモを猛烈な酷暑の中やりきった。様々な問題を列挙するアピールを聞く。トップはスポーツジャーナリスト谷口源太郎さん。放送権料等一兆円を超える「興行」の実態を暴露、興行を優先した真夏の開催は選手から離れた「マネーファースト」。一九二五年生まれ、一九三二年ロサンゼルス五輪をラジオで聴いた北村小夜さんは道徳や愛国心教育と結びついたオリ・パラの問題点を。東京都オリパラ教育を監視・批判する仲間からの報告も。
鵜飼哲さんは一九五二年の「主権回復」とヘルシンキ五輪、一九六四年の東京五輪でのヒロヒトの開会宣言等をあげ、二〇二〇年は新天皇の世界へのお披露目になること、ナチスの台頭した一九三六年ベルリン五輪と極めて相似した五輪になると警告。いち早く五輪の問題に取り組んできたアツミマサズミさん。小池都知事の「人権尊重」がいかに茶番であるかを具体的に指摘、明治公園の野宿者追い出し等を国賠で闘う反五輪の会首藤さんからも。二〇一一年3・11の震災で宮城県気仙沼に住んでいたお父さんを亡くされた木村さんは福島原発事故が終わっていない中で「復興五輪」をでっち上げることに対する怒りを語った。
武器輸出反対ネットワークの杉原さんは八月末に川崎で開催予定のイスラエル軍事エキスポ中止を求める取り組みへの呼びかけ、おことわリンクの八鍬さんからもサイバーテロを口実として人権破壊のショーケースとして五輪を利用するイスラエルに対する批判。この日お目見えリーフレットの中面ハザードマップ製作者の大榎さんから、東京自体が放射能の被災地であるリアルな現実が突きつけられた。
でもって、デモ。「ホントに死ぬぞ、東京五輪」とこれまたリアルなコールで原宿から渋谷の繁華街を歩いた。注目度抜群。リーフはバージョンアップしながら引き続き配布する予定だ。おことわリンク、これからが本番です!(おことわリンク/京極紀子)/”Alert”26,2018.8